「彼は早口で話し、強調したい箇所にくると速度を落として、声を強め、そのあとは文末まで稲妻のように話し終えた・・・強調したい言葉には、それほどでもない言葉の6倍の時間をかけたのである。」
(「話す力」D・カーネギー著)
先日、TVを見ていたら地方でダントツの売上を誇る個人商店のスーパーマーケットの特集が放送されていました。

「なんとこのスーパーマーケットの年間売り上げの6割をある商品の売上が占めています。それは・・・」

「このスーパーマーケットには日本全国から600社もの見学があるのです。その売上の秘密は・・・」

「さっそくお店に入ってみましょう・。一見すると品揃えは普通のスーパーと変わりませんね。ところが・・・」
っというように本題に入る前に期待を持たせる紹介が続いていました。

私は
「うーーーーっ、何だ?何がそんなに売れているのだ??」
と気になり、ずっとその番組を見ていました。
結局、お惣菜とおはぎが人気商品で売れているスーパーだと分かりましたが、そもそもこの番組は次のように言えば10秒で済む番組です。

「なんとこのスーパーマーケットの年間売り上げの6割を手作りのお惣菜とおはぎが占めています。それがこちらです。」
でも、これだと
「ふ~ん。そうなんだ・・・」
で終わりですよね。
でも、
「なんとこのスーパーマーケットの年間売り上げの6割を
ある商品の売上が占めています。それは・・・」
「このスーパーマーケットには日本全国から600社もの
見学があるのです。その売上の秘密は・・・」
「さっそくお店に入ってみましょう・。一見すると品揃えは普通のスーパーと変わりませんね。ところが・・・」
などという前フリや間があると視聴者は興味を持ちます。
これはプレゼンや交渉やスピーチでも同じです。
あなたが単に結論から言うとお客様は
「ふ~ん。そうなんだ・・・」
で終わるわけです。
たとえば、次のような文章があります。
『私は 花子さんが 好きです。』

では、下記の【 】部分を少し大きめの声で読んでみてください。

—————————————–
『【私は】 花子さんが 好きです。』
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『私は 【花子さんが】 好きです。』
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『私は 花子さんが 【好き】です。』
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一番目の読み方だと
「他の人はどう思っているかしりませんが、【私は】花子さんが好きなのです。」
という意味になります。

二番目の読み方だと
「洋子さんや静子さんではなく私は【花子さん】が好きなのです。」
という意味になります。
三番目の読み方だと
「私は花子さんのことが嫌いじゃないです。【好き】なんです。」
という意味になります。
これは効果的なプレゼンや交渉やスピーチを行うための最も基本的な「強調」というスキルです。
では次は文章の☆印のところで2秒の時間を空けて読み上げてみてください。

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私は ☆ 花子さんが好きです。』
—————————————–
『私は花子さんが ☆ 好きです。』
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どうでしょう?
時間を空ける場所によって伝えたいことが変わることが分かるでしょうか。

これも効果的なプレゼンや交渉やスピーチを行うための最も基本的な「間を取る」というスキルです。
冒頭のTV番組と同じように同じ内容を伝えるのであっても前フリや間、抑揚、強調、スピード、緩急によって相手が抱く印象は大きく変わるのです。
ほんのちょっとしたことなのですがこのような相手に興味を持たせる話し方や声の出し方、効果的なプレゼンや交渉やスピーチを行うための発声法や話法の技術というものがあります。
ところがほとんどの商売人、ビジネスマンはこのことに無頓着(むとんちゃく)です。

「なぜ、一生懸命に説明をしているのに営業成績が伸びないのだろう?」
「なぜ、ちゃんと応対しているのに接客が上手くいかないのだろう?」
「なぜ、正確に伝えているのに相手から理解してもらえないのだろう?」
と思う人は、声の出し方や話す順番、間、トーン、強調、抑揚、話の構成に問題があるのかもしれません。

  

  
私は人前で話すとき、相手と話すとき、打ち合わせをするときに声を意図的にコントロールする、間、抑揚、強調、スピード、緩急や声の大小を意識することによって相手の反応に大きな違いが生まれることを実体験で経験しています。

だから、声を大にして言いたい。
話し方やスピーチの話法、そして声の使い方をマスターするとどこに行っても、どんな仕事をしても一生の武器になります。
そして、それらはもって生まれたものではなく、練習で習得が可能です。


Source: 商売繁盛心理学・ビジネス心理学講師 酒井とし夫